はじめに
「オフィス移転、何から手をつければいいか分からない…」「タスクが多すぎて、抜け漏れがないか不安だ」
企業の成長や働き方の変化に伴うオフィス移転は、担当者にとって非常に複雑で責任の重いプロジェクトです。やるべきことが多岐にわたるため、計画的に進めなければ業務に支障をきたすだけでなく、予期せぬコストが発生する可能性もあります。
この記事では、そのようなお悩みを解決するため、オフィス移転の計画から移転後の手続きまで、必要な全タスクを網羅した「74項目の完全チェックリスト」を時系列に沿ってご紹介します。各項目のポイントも解説していますので、このリストを上から順に確認・実行するだけで、誰でもスムーズに移転プロジェクトを進めることが可能です。
移転を成功させ、新たなスタートを万全の体制で迎えるために、ぜひ最後までご活用ください。
オフィス移転チェックリストダウンロード
オフィス(事務所)移転をする際に確認すべき74項目を【チェックリスト】にまとめました。PDF版とエクセル版をご用意させていただきましたので、用途に合わせてご利用ください。
オフィス移転 完全チェックリスト74項目
ここからは、オフィス移転で発生するタスクをカテゴリー別に解説します。ご自身のプロジェクトの進捗に合わせてご確認ください。
移転決定後、旧オフィス(事務所)での流れ
オフィス移転が決まったら、まず最初に着手すべきは現オフィスの契約内容の確認です。特に解約予告期間は重要で、これを逃すと数ヶ月分の賃料を余分に支払う事態になりかねません。原状回復の範囲と合わせて、貸主側と書面で確認しながら進めましょう。
1.解約予告時期の確認
移転を検討するタイミングで事前に、現オフィスの契約内容の確認を行いましょう。通常半年前までに解約の告知をするのが一般的です。このタイミングを逃すと余計な費用が発生してしまうので注意が必要です。
2.解約予告通知の発送
移転のタイミングから逆算し、早めに解約通知を発送するとよいでしょう。
3.預託金(保証金)の返還時期確認
物件契約時に支払った保証金が返還されます。
保証金については、保証金?礼金?今更聞けないオフィスビルにまつわる基礎用語を参照。
4.原状回復条件及び費用の確認 (条件:どこまで行うか 業者の選択が可能か)
今いるオフィスの内装を入居時の状態に戻す必要があります。早めに業者を呼んで見積りを取るようにしましょう。
現状回復工事については賃貸オフィスの原状回復。住宅との違いとトラブルを防ぐ方法とは?を参照。
また、現状回復工事では貸主との間でトラブルも起りがちです。
トラブルが起きない様に、貸主や管理会社との事前の打ち合わせをしておきましょう。
移転先の新オフィス(事務所)選定
新しいオフィスは、今後の事業の成長や従業員の働きやすさを左右する重要な基盤です。賃料だけでなく、立地や周辺環境、従業員の通勤アクセスなど、多角的な視点から慎重に選定する必要があります。
5.立地・場所の選定
移転先を決定する際に何を優先するのか?会社によって判断基準はことなりますが、よく検討し移転先を決めましょう。
こちらの記事失敗しないオフィス移転先候補地の選び方も参考にどうぞ
6.社員の通勤時間・費用の増減の計算
会社の所在地がかわることで、社員の毎月の交通費も変更となってきます。
また、通勤に使う路線が変更になる際に、電車の混雑状況等も変わってきますので、確認しておくと良いでしょう。
7.最寄駅からの所要時間を確認
上で挙げた通勤時間にも影響してきますが、最寄駅からの所要時間を確認しておくと良いでしょう。特に、最寄の駅から徒歩20分以上かかったり、バスの利用が必要な立地は避けたいところです。
8.銀行・郵便局・役所の所在地も確認
一般社員の方にはあまり必要ないかもしれませんが、経理関係の部署の方は、業務上必要な場合がある為、事前に確認しておきましょう。
9.飲食店・商業施設の有無(少ないと不満になります)
社内に食堂等があれば問題ありませんが、周りに飲食店等が少ない場合、日々のランチに困りますので、確認が必要です。
10.他の入居テナントの確認(しっかりした企業が入っていれば安心です)
大規模な商業ビル等であれば問題はありませんが、小規模なスタートアップの場合、雑居ビル等に居を構える場合もあります。風営法に振れるようないかがわしいお店や、反社会的勢力の関わる事務所等が無いか確認しておきましょう。
11.家賃コスト(賃料・共益費・敷金・保証金・更新料・礼金など)計算
移転後に実際に掛かる費用が会社の負担にならぬように、契約前にシミュレーションをしておきましょう。
12.不動産業者との交渉
物件によってはフリーレントとして始めの数か月の賃料をサービスしてくれる場合もあります。少なくとも現事務所の原状回復期間中の1か月程度をフリーレント期間に出来ると二重で賃料を支払う無駄を防げますので交渉することをお勧めします。
13.オーナーとの契約
契約時、工事区分や消防設備工事の有無は必ず確認しましょう。契約してもテナント指定の内装工事会社が工事出来なかったり、過大な消防設備工事が発生する場合もありますので、契約前に内容を確認しておきましょう。
社内での移転準備プロジェクト
オフィス移転は一人では成し遂げられません。関係部署からメンバーを集め、専門のプロジェクトチームを立ち上げましょう。役割分担と全体のスケジュールを明確にすることが、プロジェクト成功の鍵です。
14.移転スケジュール立案
移転まで余裕がある場合には、まずは大まかなスケジューリングをし、その後詳細を決めていく事も出来ると思います。ただし、移転までの期間が3か月無い様な場合には、一括で業者に依頼し、スケジュールを立ててもらった方が良いかもしれません。
15.社員への移転計画説明
移転決定後、早いタイミングで社内に共有が必要です。
16.引越業者選定
引越業者がどこまで対応してくれるのかにより、他の作業の負担が変わってきます。
オールインワンで対応してくれる業者も増えていますので、ご予算に応じて上手に活用しましょう。
17.内装業者選定
スケジュール、予算、デザインを考慮し検討が必要です。
また、電気・通信等の工事とのスケジュール調整も必要になります。
18.OA機器業者選定
契約内容に不満が無い場合には、移転先でも今使っている業者のリースが可能であればそのまま契約。もし、不満がある様であれば、移転のタイミングで見直しを図りましょう。
19.その他ドリンクサービスや定期清掃会社などの選定
オフィス内に設置する給茶機や自販機は対応エリア内であれば移転先でも引き続き利用可能ですが、エリア外になることもある為、解約&新規契約が必要になる場合があります。
オフィス内の清掃を業者に頼んでいる場合等もエリアの確認が必要です。
また、移転先の管理会社で定期清掃サービスがある場合もあるので、確認しておきましょう。
取引先への連絡関連について
事業を円滑に継続するため、普段から付き合いのある取引先への連絡は極めて重要です。金融機関やリース会社など、契約に関わる連絡は特に慎重に行いましょう。連絡漏れ防止のため、リストを作成して管理するのが確実です。
20.金融機関への連絡
取引先との契約内容にもより異なりますが、3か月前を目安に連絡をしましょう。
21.リース会社への連絡
リース器機(コピー機、電話機、エアコン、その他備品含む)の事前の確認を行い、移転後のオフィスでも引き続き利用するのかを確認しておきます。
22.定期購読雑誌や新聞、会員制サービスなどの住所変更
雑誌や新聞、その他定期的に購入・配送しているサービスがある場合には、配送先の変更が必要になります。配送日と移転のタイミングを確認し変更を行うと良いでしょう。
23.消耗品の購入先(アスクル等)
新オフィスから消耗品を購入したら、旧オフィスへ配送が…。
と、いった配送業者泣かせの事が起きないように、事前に変更をしておきましょう。
24.加入団体への連絡
業種によっては各種団体へ加入していることもあると思います。
届出時期等は各団体へ事前に確認をしておきましょう。
25.定期支払がある取引先への伝達
取引先から請求書等の重要書類が確実に移転先にも届くよう、取引先への移転案内状は移転の2週間前には発送を完了させるようにしましょう。また、移転前の事務所に郵送物が送られても確実に受け取れるよう、郵便局への転送依頼も移転3日前には完了させると良いでしょう。
26.関係サポート会社(保守等の関係があるところ)への連絡
警備会社やネットワーク関連の保守契約等を行っているあ場合、届け出や連絡が必要です。
メール・ホームページの住所変更
意外と見落としがちなのが、デジタル上の住所変更です。特にウェブサイトの会社概要やアクセスマップ、全社員のメール署名は、移転のタイミングで確実に更新しましょう。古い情報のままでは、企業の信用問題にも繋がりかねません。
27.メール署名書き換え
メール作成の際に自動挿入されている署名の住所を変更しましょう。
※Gメールを利用している場合の変更方法はこちら
28.ウェブサイト住所・記載変更
コーポレートサイトに記載されている住所方法を変更しましょう。サイトがPCサイトとスマートフォンサイトで別管理の場合には、漏れが無い様に注意が必要です。
また、最近ではFacebookの企業ページをお持ちの会社も多いので、こちらもお忘れなく。
関係省庁への提出書類一覧
オフィス移転に伴い、法務局、税務署、社会保険事務所など、様々な官公庁への届出が法的に義務付けられています。提出期限が移転後5日以内など非常にタイトなものもあるため、事前に必要書類と提出先、期限をリストアップし、計画的に準備を進めることが不可欠です。
29.法務局
本店移転、もしくは支店移転登記申請書
本店の移転の場合には、移転日より2週間以内に。支店の場合には3週間以内の届け出が必要です。
30.税務署
事業年度、納税地、その他変更異動届け、給与支払い事業者移転届け
移転日より1か月以内に届け出が必要になります。
31.都道府県税事務所
納税地、その他変更異動届け、自動車税の申告
移転日より1か月以内に届け出が必要になります。
32.社会保険事務所
適用事業所所在地、名称変更届け
移転日より5日以内の届け出が必要となります。ただし、管轄の事務所により異なる場合もありますので、事前に確認をしておきましょう。
33.公共職業安定所(ハローワーク)
雇用保険事業主事業所各種変更届け
移転日より10日以内に届け出が必要になります。
34.労働基準監督署
適用事業報告書、建設物・機械等設置移転変更届け、名称・所在地変更届け、確定保険料申告書、保険関係成立届及び保険料申告書
各届出の期限は以下の通りです。
-適用事業報告書⇒遅滞なく
-名称・所在地変更届け⇒移転日より10日以内
-確定保険料申告書⇒保険関係消滅の日から50日以内
-保険関係成立届及び保険料申告書⇒保険関係成立の日から10日以内
35.郵便局
転居届を出す
移転先が決まったら早めに届け出を出しておきましょう。
また、窓口での届出の際には、団体との関係がわかるもの(社員証、健康保険証等)の提示を求められますので、忘れずに持っていきましょう。
36.消防署
防火管理者選任届け出
移転後すぐに、管轄の消防署へ防火管理者の届け出が必要になります。
防火管理者についてはこちら
37.NTT
電話申し込み、旧ビルの電話使用廃止手続き
NTTでは通常、依頼してから開通まで電話回線で2週間、ネット回線では3週間から1か月強の時間が掛かります。更にビルによっては光回線を敷けるかどうか、事前に下見が必要な場合もあります。従って移転初日からネット・電話を使えるようにする為には移転の1ヵ月半程度前から手配を行った方が良いでしょう。ちなみに、こうした手配一式を無料で代行してくれる内装会社・移転会社もありますので業者選定の際に確認されることをお勧めします。
38.銀行
取引店変更依頼兼住所変更届出
届け出は基本的に現在利用している取引店、もしくは今後利用予定の支店で手続きが可能ですが、銀行により異なりますので、事前に各銀行窓口へお問合せが必要です。
オフィス移転の案内について
取引先や顧客に対して、移転の事実と新しい連絡先を知らせるための準備です。誰に、いつ、どのような形で案内状を送るかを計画します。移転の1ヶ月~2週間前には発送を完了するのが一般的です。
39.送付先リストの作成
普段から企業全体で顧客管理が出来ている場合には、リスト化も比較的楽に出来ますが、そうで無い場合には社員全員に早めに声をかけ、リストを作成する必要があります。
40.案内文作成、印刷、宛名書き
社内の確認に時間のかかる会社の場合には、案内文作成等は3か月くらい前から着手しておく事をおすすめします。
41.地図の作成
今はGoogleマップを確認しながらの作成が主流ですが、必要であれば実際に現地へ行き、主要駅からの徒歩時間や、目印になる建物等の確認をし地図に反映させるとベストです。
42.発送時期の検討、発送
移転の1か月前くらいを目途に届くよう手配するのがオススメです。
印刷物関連の変更
名刺や封筒、請求書などの帳票類は、企業の「顔」です。旧住所が記載されたものを使い続けることのないよう、移転のタイミングに合わせて新しいものを用意しましょう。発注から納品まで時間がかかる場合もあるため、早めの手配が肝心です。
43.封筒、社員証、各書類レターヘッド、名刺の準備
いつも利用している業者がある場合には、事前に納期を確認しておきましょう。
また、返信用の封筒を同梱して送付する書類が多くあるような場合には、移転のタイミング等を考慮する事をお忘れなく。
44.社判、ゴム印の作り直し
移転先が決定したら、時間のある時に早めに済ませておく事をおすすめします。
新オフィス(事務所)のプランニング
新しいオフィスは、企業の未来を創るための重要な投資です。将来的な人員増も見越したレイアウトや、企業理念を反映したデザイン、従業員が快適に働ける機能性を考慮して、最適なプランニングを行いましょう。電気容量や防災関連の法規チェックも必須です。
45.次の移転までの増員も含め、収容人数を決定
会社の業績から、今後社員が増えるのか?減るのか?を考慮し移転先物件の検討をしましょう。
46.具体的なレイアウトプラン作成
移転後、快適なオフィスを作るにはゾーニングと呼ばれるレイアウトプランの作成が最も重要です。
47.1人当たりの面積の算出
業種・業態によって一人当たりの必要面積は異なりますが目安として一人2坪という数字が一般的に必要とされています。例えば社員が20名で最低限の会議スペースを備えた場合、40坪以下だとレイアウトにかなり無理が生じてしまいます。テナントの形状にもよりますが、物件は今後の拡張も見据えた広さの中から選びたいものですね。
48.受付・会議室・応接室等のプランニング
受付から会議室、応接室への導線はお客様の目にも触れる場所になります。
会社の印象につながる部分ですので、レイアウト検討時には位置決めはしっかり行いましょう。参考記事はこちらオフィスを見せる?見せない?来客の導線は計画的に
49.スペースの配分に無理は無いか
快適に業務が出来るようなデスクとデスクの間のスペースは確保されているか?
通路の幅は建築基準法に沿った幅になっているか?などレイアウト時に各スペースをしっかり検討する必要があります。
参考記事はこちらオフィス設計のポイント。快適なオフィスレイアウトはゾーニングで決まる
50.電話・OA機器移設、引越作業等との調整
一般的にビジネスフォンは専門業者でないと工事できません。またコピー機も搬送を保守業者に依頼しないとその後のメンテナンスを受けてくれなくなる場合もあります。「見積もりが安かったから引越業者にまとめて頼んだら後から問題になった」というケースもありますので、ビジネスフォンとコピー機は専門業者に依頼してください。また、サーバーラックなど社内に大型のネットワーク機器がある場合も保守業者に配線や移転先での設定も含めて依頼する必要があります。パソコンのみであれば引越業者に緩衝材を内蔵した段ボールで運んでもらえますが、データの消失時の対応など事前に確認をしておきましょう。
51.間仕切り等、法規上問題はないか(防災関係)
間仕切りの仕様次第では、非常灯や火災報知器の設置が義務付られます。
内装工事費用にも影響がありますので、よく検討しましょう。
参考記事はこちら欄間(ランマ)オープン、欄間(ランマ)クローズの違とは?
52.空調の変更・追加の必要性はあるか
レイアウトを検討する際に、併せて空調の場所や数を確認しておきましょう。
特に、パーテーション等を使い、会議室や応接室を作った場合に「会議室に空調が無い!」なんてことにならない様に注意が必要です。
53.電源が取りやすい位置にあるか
レイアウトを考える際に、コンセントの位置と数を事前に考慮しておきましょう。
足りないとせっかくの新オフィスで延長コードがむき出しになってしまったり見た目にもすっきりしません。
54.電気容量は十分か
配置した機器やPCなどに対して、電力が十分に足りているか?スタッフ増員後も考慮して検討しておきましょう。
参考記事はこちら飛んだら終わり!?オフィスの「電源工事」は回路計算が命
55.企業イメージにマッチしているか
移転のタイミングではエントランスや会議室までの導線等、お客様が目にする箇所を作り直すチャンスです。企業イメージにあったデザインをしっかり検討しましょう。
56.収納スペースは十分か
デジタル化&ペーパーレス化している昨今ですが、保管が必要な書類はまだまだ存在します。収納スペースには余裕を持たせておきましょう。
57.オフィス家具の無駄な発注はないか要求に合ったレイアウト提案か
せっかく移転するのだから家具も全て新調したい。社員の誰もがそんな気持ちになるのがオフィス移転です。そして家具メーカーや販売店も机も椅子もキャビネットも全て新調しましょう!と勧めてくるでしょう。しかし何かと費用がかさむ移転です。前の事務所でまだ十分使える家具や収納庫があれば持っていく選択肢も考えるべきです。内装や本当に必要な家具に予算を回せるようにやりくりすることもオフィス移転担当者の大事な仕事ですね。
引越準備、当日の作業の段取りについて
いよいよ移転作業の最終段階です。当日の混乱を避けるため、事前にマニュアルを作成し、全社員への説明会を実施することが重要です。特にPCデータや機密書類の取り扱いについては、情報漏洩のリスクがないよう、廃棄方法まで含めて厳密なルールを定めておきましょう。
58.全体スケジュールの確認
移転までのスケジュールは余りタイトにせずに、多少変更やトラブルがあっても対応できるように余裕を持ったスケジュールで作成しておくことをお勧めします。
59.移転物品・残留物品・廃棄物リスト作成
新居に移す物品と残しておくもの、廃棄物として処理するものを予めリスト化しておきましょう。また、移転当日に間違えないように、目印となるシールを張っておくのもオススメです。
60.社内説明会の開催(梱包方法、搬出・搬入方法等)
移転業者と予め決めておいた荷物のまとめ方のルールや、備品や器材搬出のスケジュール、ネット・電話環境等の切り替えスケジュールを社内で共有しておきましょう。特にネット回線等は業務にも影響が出る為、早めに共有しお客様に迷惑のかからないように配慮する必要があります。
また、1回伝えたきりにはせず、アラートをこまめにしておくと良いでしょう。
61.引越マニュアルの作成
移転準備から当日までのスケジュールや、取引先のお客様への告知タイミグ等を全てまとめたものを作成しておきましょう。
62.廃棄物の処理方法(溶解処理、PCデータ消去、マニフェストの発行)
移転時にでる廃棄物について、業者に処理を委託することになりますが、その後どのように処理をしているのか?特に機密書類やPCのデータの処理方法などはトラブルにならぬよう、事前に確認しておきましょう。
63.当日の作業割り当て確認
移転当日は引越前の事務所でも引っ越し先の事務所でも人員が必要になります。引越前に事務所では持っていく物と廃棄する物はどれか(事前に仕分けれらなかった物がどうしても出てくるので)、荷物の搬出もれがないか等、分かる人が業者に指示をする必要があります。また、引越先の事務所では、デスクや収納庫の細かい配置、荷物の置き場などを業者に指示を出さなければなりません。よって、移転前と移転先のそれぞれの事務所に適材適所な責任者を配置し、スタッフの役割分担を決めておきましょう。予定通りに進むとは限りませんが、工程の進み具合によって大体誰が何をするのかを決めておくことで、時間内に完了する確率が高まります。
64.鍵の受け渡しの確認
新居の鍵は契約後受け取ることが出来ます。
問題は、現オフィスの鍵です。退去日には返却が必要になる為、全社員に渡してある鍵も含め、事前に集めておく必要がありますので余裕を持って対応しましょう。
65.養生指定確認
移転時の荷物の搬出・搬入時に建物に傷等をつけない様にするために養生シート等での保護が必要になります。建物の管理会社等に予め養生箇所や期間の連絡をしておくことでトラブルを防ぎましょう。
【重要】失敗しない電話・インターネット環境の構築
オフィス移転で最もトラブルが多く、業務への影響が大きいのが電話やインターネットなどの通信インフラです。回線の引き込み工事は申し込みから開通まで1ヶ月以上かかることも珍しくありません。内装工事と並行して、できるだけ早い段階で専門業者に相談し、手配を進めることが失敗しないための最大のポイントです。
66.電話番号は変わる地域かの確認
近場での移転であっても局舎が変更になると電話番号は変更になります。印刷物などに記載する必要もある為、早めの確認が必要です。
※電話番号は管轄区域の通信基地局【局舎】によって管理されています。
参考記事はこちらオフィス移転したら電話番号って変わるの?どうなの?
67.回線の種類、最大通話本数をどうするか
移転後、スタッフの増員を予定している場合等は注意が必要です。
何を増やすのか?によっても方法が変わってきますので、事前に明確にしておきましょう。
参考記事はこちら契約回線別 オフィス電話の電話番号の増やし方
68.料金プランの見直し
移転後の回線の増設がある場合等はプランの見直しのいい機会です。
数年先を見越して検討しましょう。
69.電話機の増設等
電話機が追加で何台必要になるのか?を事前に確認しておきましょう。
もし費用を抑えたい場合には、中古のビジネスフォンという考え方もアリです。
参考記事はこちら中古ビジネスフォンのメリット・デメリット
ビジネスフォン増設の際、費用が多く掛かるケースもありますので、ご注意を。
参考記事はこちらビジネスフォンを増設する際に費用が多くかかってしまうケースとは?
70.回線切替日程の調整(移転先での業務開始日に合わせる)
移転後に電話とネットが繋がらない!なんてことの内容に余裕を持った切替の調整を行いましょう。
71.光のプラン確認(建物により引ける種類が異なる、指定がある場合もある)
今の時代でも光ファイバーが引けないビルも存在することをご存知でしょうか。また引けてもファミリータイプ限定、マンションタイプ限定など、プランが限定されるビルも多いです。業者に任せていたら移転先のテナントで使えるネット回線が移転前と違っていた、ということもありますので事前に必ず確認しておきましょう。
72.光のプランに合わせたプロバイダ選定(又はプラン変更)
インターネットには通常、回線契約とプロバイダ契約の両方が必要です。更に回線の種類によって申し込むべきプロバイダのタイプも変わってきます。このことから移転先で使う光のプランが異なる場合、プロバイダのプランを変更する必要が出てきます。また、固定IPプランを使っている場合は移転先で例え光のプランが同じでも固定IPが変わってくることもあります(その場合はサーバ設定も必要)ので、移転前に光のプランが決まったらすぐプロバイダ業者・ネットワーク保守業者に確認しておきましょう。
73.床の形状に合わせた配線イメージ(OA床かタイルカーペットか)
主流派配線がすっきりとするOA床です。
参考記事はこちら【施工事例】200平米のOAフロア(フリーアクセスフロア)工事に密着取材!
74.どこまでを業者に頼むかを検討
それぞれを個別の業者に依頼するのか?自分たちでやるのか?を決定する必要があります。ただ、今は全て一括で対応している業者も多いので、早めに決定し全て任せてしまうのも手です。
チェックリストのダウンロード
以下のリンクから上記全74項目のチェックリストをダウンロードいただけます。
PDF版とエクセル版をご用意ヂております。移転の際に、ご活用ください。
まとめ:チェックリストを活用し、計画的なオフィス移転を
本記事では、オフィス移転を成功させるための74項目のチェックリストをご紹介しました。このリストを一つずつ確実にクリアしていくことで、複雑な移転プロジェクトの全体像を把握し、抜け漏れなくタスクを管理することができます。
特に、以下の3点は移転の成否を分ける重要なポイントです。
- 事前の計画とスケジュール管理:現オフィスの解約予告や官公庁への届出など、期限が定められたタスクから逆算して詳細なスケジュールを立てることが不可欠です。
- 関係者との密な連携:社内のプロジェクトチーム、経営層、そして外部の専門業者と常に情報を共有し、連携を密にすることで、認識の齟齬や手配ミスを防ぎます。
- 通信インフラの早期手配:電話やインターネットが使えなければ業務は始まりません。リードタイムを考慮し、他の何よりも優先して手配を進めましょう。
もし、これらの膨大なタスクをこなしながらコア業務も遂行することに負担を感じる場合は、専門家の力を借りるのも賢明な選択です。経験豊富なプロに任せることで、担当者の負担を大幅に軽減し、よりスムーズで質の高いオフィス移転を実現できます。
オフィス移転をワンストップで任せてみませんか?
考えただけで気が遠くなりそうなオフィス(事務所)移転、実際に経験された方はその大変さを実感されていると思います。
できれば余裕を持って半年ぐらい前からオフィス(事務所)移転の準備は行いたいですが、ぎりぎりになってしまっても弊社にご相談頂ければ出来うる限りの超速対応をいたします。
もちろん時間に余裕があるご相談でも、大歓迎です。ぜひご相談ください。

一級建築士 / 1級建築施工管理技士 / 宅地建物取引士 / 認定ファシリティーマネジャー
千葉大学工学部を中退後、2001年に24歳で株式会社アロワーズを創業。「働く環境こそが生産性向上の唯一の手段」という信念のもと、23年間にわたりオフィスの設計・デザイン・施工をワンストップで手掛ける内装工事業を行っている。