コスト削減をあせって移転すると逆に損するかも。『待ち』の方が得する理由とは?

コスト削減をあせって移転すると逆に損するかも。『待ち』の方が得する理由とは?

オフィスを見直す企業が増えています。
拡大・縮小という選択肢だけでなく、新しい働き方に合ったオフィスへの移転を検討されている方も多いと思います。

しかしその移転、ちょっと待ってみませんか?
オフィスの流れを20年見てきた私の見解をお伝えしたいと思います。

今は『待ち』の理由とは?

 

①現段階ではまだ坪単価が高い

 

2023年7月現在、都心5区のオフィス空室率は約6%となっています。

データでコロナ発生前の数年間、オフィス物件はずっと売り手市場でした。
賃料は上がり続けているにも関わらずオフィスの空室率も2%を切る低水準で、良い物件はすぐ埋まっていました。

そこからコロナショックを経て、現在に至るまで空室率は4%も上昇しました。通常、オフィスでは空室率が上がると賃料が下がるという法則があります。

空室が出てしまってはビルオーナーが困るので、賃料を少しずつ安くして入居しやすい価格帯にする為です。しかし、この1~2年、その法則通りには動いていない間隔があります。

空室率は上昇しても、賃料をそこまで下げないオーナーが多かったのです。コロナのオフィス離れが一時的と読んで、様子を見ていたのかもしれません。

ただ、コロナ関係なくオフィスは見直しの時代になっていると言えます。企業の収益率を上げるため、販管費の中でも大きな割合を占める賃料は極力削減したい。テレワーク等の新しい働き方に合わるという理由でオフィスをダウンサイジングする企業も多くなっています。

その傾向が明らかな今、ようやく賃料を見直すビルオーナーが増えてくると予想しています。

また、既存テナントには解約は「6か月前予告」を義務付けられていることが多く、更に退去後に約1か月間の原状回復期間があります。

ですので例え7月に解約を出したテナントも、実際に空室になるのは来年になってしまうのです。

今探しても「ずいぶん先に空く予定の物件」か「条件が悪くて今空いている物件」が多いのはその為なのです。

 

②ではいつ移転するのがベストタイミングか?

もし今タイミング良く最適な物件が見つかったとしても、坪単価は高いままです。
場合によっては坪数100坪→60坪、坪単価12,000円→20,000円で「縮小したのに賃料変わらない」ということも。
ビルオーナー側はまだ様子見。しばらくは坪単価はそこまで下げずに募集するでしょう。
ではいつ下がるのでしょうか?
過去の経験から予測される未来は

2023年後半 空室率は6%前後で推移するも賃料相場は動かない。
2024年前半 空室率が7~8%となり、賃料が1割程度下落。

この程度のスピード感で推移するとみています。
コロナ禍では企業の意思決定はもっと早いと思われるかもしれませんが、ビルオーナーが空室対策の為に賃料を下げるのは最後の砦です。
状況次第ではありますが、2024年頭にならないと、縮小移転で一気にコストダウンができる優良条件は出てこないかもしれません。

もちろん「坪単価が高くても、スペースを半分以下にできる」という企業さんは、直ぐに移転するという選択肢もありでしょう。
テレワーク対応のオフィスレイアウトにして、小さくなっても社員さんの利便性の向上に繋がれば、坪単価など気にしている場合ではないかもしれません。

しかし、一般論として賃料は「契約した時の相場で支払い続ける」ことが原則です。
長い目で考えると今年の後半までは「待ち」、条件の良くなる「2024年の前半にオフィス移転」をすることが賢い選択肢になりそうです。

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