クリニックの新設や改装において、CTやMRIといった重量機器を設置する際には、通常の床強度では対応できないケースが少なくありません。
本記事では、CT機器(重量1t超)を新たに導入するために行ったコンクリート打設工事の一例をご紹介します。
■ 施工背景とポイント
今回は既存クリニックのリニューアル工事の一環として、CT室の床補強工事を実施しました。機器メーカーの図面に基づき、必要範囲にのみピンポイントでコンクリートを打設する計画です。
■ ① 既存床の解体とスラブの露出
まずはCTを設置する範囲の既存床を解体し、コンクリート打設に適した状態まで床スラブを露出させます。
一部は既に小型レントゲン用のコンクリートがありましたが、全体として強度・水平性を確保するため再整備を行いました。
■ ② 型枠の設置(コンクリート流出防止)
コンクリートが不要な範囲に流れ込まないように木製型枠を設置します。これにより、図面通りの形状と高さを確実に確保することができます。




■ ③ 鉄筋の設置(強度・ひび割れ対策)
打設後のひび割れ防止と構造的強度を確保するため、鉄筋をスラブに打ち込んで配筋します。特に医療機器の据付では、水平精度と安定性が求められるため慎重に施工します。



■ ④ コンクリートの打設と仕上げ
コンクリートは流し込んでから3回に分けて表面を仕上げ塗り。気泡やムラを防ぐとともに、使用機器の設置に支障が出ないように丁寧に整えます。飛び出した鉄筋もこの時点でカットします。


■ ⑤ 配管の埋込処理
CT室と操作室間をつなぐ電気・通信・制御配線の埋込配管部も同時にコンクリートで閉じ、機能性と美観の両立を図ります。
■ ⑥ 次工程へ(軽量鉄骨工事)
コンクリートがしっかり乾燥した後は、LGS(軽量鉄骨)による間仕切り工事が始まります。医療機器設置と並行して進められるよう、スケジュールも綿密に調整しました。


【まとめ】
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CTやMRIなどの重量機器設置時は床補強が不可欠
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機器メーカーの仕様図に基づいた正確な施工が求められる
- 施工範囲の絞り込みと丁寧な仕上げで短納期と高品質を両立
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一級建築士 / 1級建築施工管理技士 / 宅地建物取引士 / 認定ファシリティーマネジャー
千葉大学工学部を中退後、2001年に24歳で株式会社アロワーズを創業。「働く環境こそが生産性向上の唯一の手段」という信念のもと、23年間にわたりオフィスの設計・デザイン・施工をワンストップで手掛ける内装工事業を行っている。