「オフィスの壁と、扉のデザインを合わせて統一感を出したい」――
そんなご要望をいただき、既製品の扉(建具)にオリジナルのクロス(壁紙)を貼って仕上げた施工事例をご紹介します。
通常、扉はメーカーごとに色やデザインのラインナップが決まっており、壁と“全く同じ柄”を選ぶのは難しいものです。ですが、クロス貼り加工というひと工夫で、お客様の理想の空間を実現しました。
■ ご相談の内容と課題
あるオフィスの改装で、お客様からこんなご希望をいただきました。
「壁と同じデザインの扉を設置して、空間全体をスッキリとまとめたい。」
ところが、既製品の扉(建具)にはあらかじめ用意された数種類の色・柄しかなく、壁紙と完全に同じデザインの扉は製品として存在しないのが実情です。
【Panasonic社のカタログより:既製品の建具ベリティス】
■ 解決策:扉に壁紙を貼るというアイデア
そこで当社では、扉の表面に壁と同じクロス(壁紙)を貼る施工をご提案しました。
色味が似ているだけではなく、柄まで揃えることで“視覚的な一体感”が生まれます。
【クロスを貼る前のボード】
【壁に使用したクロス】

■ 施工の工夫と注意点
ただし、扉は壁とは異なる素材でできており、そのままではクロスがしっかりと接着しません。
そのため、パテ材ではなく“シーラー処理”という下地づくりを行い、クロスを貼っていきました。
【シーラー処理とクロス貼り作業】

※注意:建具は本来クロスを貼る前提ではないため、将来的には剥がれやすくなる可能性があります。施工後のメンテナンスや耐久性についてもご案内いたします。
■ 完成後の様子とビフォーアフター
クロスを貼った扉は、壁と見分けがつかないほど自然な仕上がりに。
空間全体の統一感がぐっと高まり、「見た目の美しさ」と「デザインへのこだわり」を感じられる空間になりました。
【クロス貼り後の建具】

【当初納品されていた既製品の建具】
こんな方におすすめです
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内装にちょっとした“こだわり”を加えたい方
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リニューアル時に、空間全体の統一感を意識したい方
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現在設置されている扉に後から加工したい方
今回のようなクロス貼り加工は、新設時だけでなく、既存の扉にも施工可能です。
「少しだけ印象を変えたい」「ブランドイメージに合う空間にしたい」といったご相談にも柔軟に対応しています。
【まとめ】
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既製品の扉では難しい「壁と同じデザイン」を実現
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クロス貼りによる空間の一体感とデザイン性向上
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現状の扉にも施工可能で、内装に+αのこだわりを追加できる

一級建築士 / 1級建築施工管理技士 / 宅地建物取引士 / 認定ファシリティーマネジャー
千葉大学工学部を中退後、2001年に24歳で株式会社アロワーズを創業。「働く環境こそが生産性向上の唯一の手段」という信念のもと、23年間にわたりオフィスの設計・デザイン・施工をワンストップで手掛ける内装工事業を行っている。