オフィスビルでは面積区画・竪穴区画・異種用途区画など、火事の際の炎や煙が広がらないよう、一定の面積で区画することが求められています。これを防火区画と言います。
テナントとして入る企業が気になるのが、この防火区画の「扉」。
防火区画を形成するために、防火設備や特定防火設備の認定が取れた扉を使う必要があるのですが、そこで問題になってしまうのがデザイン性。
防火戸に使われる白い塗装の鉄の扉は、どうしても殺風景な見た目になってしまうのです。
オフィスのエントランスの雰囲気に合わないので交換したいケースでも、防火戸認定が取れている扉は選択肢が少なく、そもそもビルの規定で交換できないことも多くあります。
また、既存のトイレの扉なども「交換できない扉」のひとつです。
そのような場合、選択肢は二つ。
一つは塗装。鉄部への塗装で白以外の色に変えられますが、選べるのは単色のみ。
もう一つ、既存の防火戸にダイノックシートを貼ってデザインを統一させるという解決策があります。
ダイノックシートは非常に耐久性が高く屋外での使用も可能な為、室外の扉だけでなく、車両の装飾にも利用されます。また、耐水性にも優れているため、水周りの装飾も可能な優れもの。それでいて、木目や石目や単色など、様々なデザインから選ぶことができる万能選手なのです。
下記、施工の流れとなります。
①既存の扉の凹凸などをやすりやパテで平らにします。
②シートを張る面をきれいに拭き取ります。
※ホコリなども付いていると凹凸が出来る原因になる為、きれいに拭き取ります。
※ドライヤーなどを使うことにより角をきれいに張ることが出来ます。
③シートを張ってから1日経過させて施工完了です。
※シートを張ってすぐに触れてしまうとダイノックシートがズレることがあるので 1日は置きましょう。
ちなみに、3M社のダイノックシートは国土交通省の大臣認定を取得しており不燃材料としての防火性能を満たしておりますが、防火設備または特定防火設備に施工して防火区画の規定を満たすかどうか、念のため管轄の建築指導課への確認が必要となります。
一級建築士 / 1級建築施工管理技士 / 宅地建物取引士 / 認定ファシリティーマネジャー
千葉大学工学部を中退後、2001年に24歳で株式会社アロワーズを創業。「働く環境こそが生産性向上の唯一の手段」という信念のもと、23年間にわたりオフィスの設計・デザイン・施工をワンストップで手掛ける内装工事業を行っている。