企業がオフィス移転をする理由とは?

企業がオフィス移転をする理由とは?

■人材採用を強化するためにオフィス移転

人材採用を強化するためにオフィス移転

企業がオフィスを移転する理由のひとつに、できるだけ優秀な人材を採用したいという理由が挙げられます。
優秀な人材が、新卒で就職したり、中途採用で転職する企業を選択する理由としてオフィス環境を挙げています。例えば新築の高層オフィスビルの上層階にオフィスを構えている企業であれば、社員はステイタス面で満足感を得ることができます。

新築高層オフィスビルの場合は、オフィスからの眺望が良かったり、空調の調節機能が適切であったり、広いフロアに無駄な壁や仕切りがなくて社内の風通しが良いなどのメリットがあります。
とくに女性社員にとっては、トイレの機能が最新式で清潔感があれば、それだけ働きやすいオフィス環境ということになりますし、女性社員の定着率が変わってくるとも言われています。

また、優秀なシステムエンジニアを採用するために、広いフロアのオフィスに移転し、ひとりひとりのシステムエンジニアの机のサイズを広くして、さらにパーティションで囲って半個室のような状態にしているIT企業も存在するようです。
あるいは、外資系証券会社のように広いオフィスに移転して、社内にスポーツジムや喫茶店を開設するケースまであります。

さらには、業績が好調のため、人員を大幅に増加する必要に迫られている理由で、オフィス移転を実施するケースもあります。それまでのオフィスでは人員を収容することができないため、本社の近隣に複数の分室を設置する企業があります。それを、本社ビルの賃貸借契約期間が満了となるタイミングで広いオフィスに本社移転して、さらに大幅な採用強化に動いているのです。

■ビジネスを進めるうえでの好立地に移転

ビジネスを進めるうえでの好立地に移転

企業がオフィスを移転する理由としては、ビジネスを進めるうえで利便性の高い立地に移転したいという動機もあります。

例えば、政府の政策によって、売上高や利益が大きく変動する可能性がある業種の企業は、霞が関や丸の内、虎ノ門といった国会議事堂や中央官庁の近辺の場所にオフィスを構える傾向が強いです。
1時間でも10分でも早く、情報を機動的に収集することが目的です。

代表的な業種は、銀行をはじめとする金融機関です。
これは、日本銀行の金融政策によって金利が変動しますから、常に金融政策の動向に注意を払い、情報を収集しなければなりません。
また、建設会社であれば、政府が補正予算を組んで財政出動をするとなると公共工事の発注があるわけですから、常に最新の政府の動向について情報収集をはかる必要があります。
なお、証券会社は、かつては東京証券取引所のある日本橋兜町にオフィスを構えていましたが、現在では多くの大手証券会社が丸の内周辺にオフィスを移転させています。

渋谷周辺にオフィスが集積している業種もあります。
IT企業やソーシャルゲーム関連企業、いわゆるインターネット関連企業です。
これらの企業は、渋谷周辺にオフィスを移転させる傾向があります。当初、インターネット関連企業を創業するときは中目黒付近で小さなオフィスを借りますが、そこで成功すると渋谷へオフィスを移転させる傾向が強いようです。

渋谷という街には若者が集積していますから、常に最新の流行や商品のトレンドなどが溢れており、渋谷にオフィスを構えて同業他社の人たちと交流したり、街を歩くだけでも何かビジネスアイデアを探り出すことができるのだと思われます。

 

 

■業績悪化のためにオフィス移転

業績悪化のためにオフィス移転

企業がオフィスを移転させる理由として、業績悪化による経費削減が挙げられます。経費削減のために、狭くて賃料の安いオフィスへ移転するのです。

景気というものは数年おきに循環しています。好景気のトレンドに入ると、企業は広いオフィスに移転して人員採用を拡大し社員数を増加させます。一方、不景気のトレンドに入ると企業は社員を削減し、狭くて賃料の安いオフィスへ移転していきます。とくに歴史の浅いベンチャー企業において、数年おきにこれが繰り返されています。

インターネット関連のベンチャー企業の場合、創業して3年程度で株式上場を果たすケースも珍しくありません。株式を上場するときに、新たに公募増資で資金調達を数億円単位で実施しますので、多額の現金収入が入ります。そこで、創業者の社長は業容拡大を目指して、株式上場と同じタイミングで新築の高層オフィスビルへ本社を移転させ、大幅に人員を拡大するケースがよくあります。

ところが、インターネット関連企業が営んでいるビジネスは注目を集めるのは早いですが、飽きられるのも早いケースがあります。このため、結果的には株式を上場した頃が業績のピークであり、それからは坂道を転がり落ちるようにして赤字決算が続く場合も珍しくないのです。

そこで、企業はまず人件費のカットを実施し、そのうえでオフィスの賃貸借契約期間が満了となるのを待って、賃料が安くて狭いオフィスへ移転していくのです。このため、ベンチャー企業のなかには月額賃料が1000万円のオフィスから、月額300万円のオフィスへ移るケースも珍しくありません。
 

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