オフィスにおけるバリアフリー対策とは?

オフィスにおけるバリアフリー対策とは?

バリアフリーやユニバーサルデザインという言葉を耳にするようになって随分経ちました。これらの概念は学校教育でも取り入れられており、建物を新しく建てる時に気を遣うべき要素とされています。新築時以外であっても、バリアフリーやユニバーサルデザインを考えてスロープを模した斜めの台を設置したり、手すりを後から取り付けたりするケースが日常的に見られます。

日本は既に超高齢社会に突入しています。高齢者を意識してバリアフリーやユニバーサルデザインの需要が高まったという背景がありますが、2016年4月に改正された障害者雇用促進法による影響も大きいでしょう。この記事では誰もが快適に働ける職場を実現するために、オフィスにおけるバリアフリーやユニバーサルデザインについて学んでいきます。

 

■障害者雇用促進法の改正法とは?

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障害者雇用促進法はどのようなもので、どのように改正されたのでしょうか?ポイントを見ていきましょう。

・雇用している常勤の労働者のうち、2%以上が障害者でなければならない
一般の企業においては、日常的に用いる労働者のうち2%以上を障害者が占めなければならないと定められています。なお、改正法では精神障害を持つ人も障害者としてカウントできるようになりました。

・障害者の占める割合が少ないとペナルティがある
100人を超える企業が上記の割合を満たしてない場合、不足人数1人につき5万円の納付金を課せられます。ただし、平成32年3月31日までの時限措置として、納付金は4万円に減額されています。

・障害者差別の禁止と合理的配慮義務の制定
障害者であることを理由した差別を禁止し、労働時は障害者に合わせた配慮をする義務が企業側に課せられました。具体的には障害を理由とする低賃金が禁止されたり、車椅子利用者に合わせてデスクの高さを調整したりする配慮が必要とされました。

 

 

 

■バリアフリーとユニバーサルデザイン

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バリアフリーとユニバーサルデザインを同一のものと考えている人は意外と多いようです。具体的な違いをご紹介します。

・バリアフリーとは?
障害者や高齢者といった身体的にハンディキャップのある人のために、生活に支障のある障害物を減らすというコンセプトのもとで設備を整えるのがバリアフリーです。車椅子の人のために段差をスロープにするのが代表的な例です。行政が導入を主導する側面があります。

・ユニバーサルデザインとは?
障害者も健常者も含めたすべての人が使いやすいデザインを追求するのがユニバーサルデザインの考え方です。民間が推し進めている傾向があります。身近な例がシャンプーのボトルです。頭を洗っているときは多くの人が目をつぶっているので、ボトルに凹凸を作って障害者にも健常者にも使いやすいようにしています。

 

 

 

■どんな箇所が対応可能か?

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オフィスにおけるバリアフリーを目指した場合、どのような配慮をすべきでしょうか?具体例を挙げていきます。

・床
できるだけフラットな床にすることで、車椅子の人でも安心して働くことができます。OAフロアにすると床下にケーブル類を配線できるので、誰にとっても使いやすいオフィスとなります。

・ドア
車椅子の人にとって、押し引きするタイプのドアは開閉にかなりの労力が必要です。引き戸タイプのドアの方なら、誰にでも扱いやすいのでオススメです。また、何かを触ったら開くような半自動のドアを導入してもいいでしょう。

・受付
受付で何かを記入する必要がある場合、車椅子の方に合わせた高さの台を用意しておくことをオススメします。しかし、車椅子の人に合わせた高さの物しか用意していないと健常者にとって使いづらくなります。両方を用意しておくと良いでしょう。

・デスク
車椅子のまま使える高さや幅のデスクを用意しましょう。会議スペースにもそういった配慮をしておくと、取引先の方が車椅子で来た場合に対応できます。

・レイアウト
机の配置や資材の置き場所を工夫して、車椅子の人でもすれ違えるくらいのスペースを用意してください。誰でもスムーズに移動できるような動線を確保しておきましょう。

・照明ボタンの位置
誰もが使いやすい高さに照明ボタンを設置すると良いでしょう。ボタン自体を押しやすい大きさにしたり、力を入れなくてもよい接触式のボタンにしたりしても効果的です。人が室内にいると自動で点灯されるシステムの導入も検討してください。

 

 

■まとめ

オフィス向けのバリアフリー対策を紹介してきましたが、実際にはまだまだ限りなく考えられます。視覚障害の労働者のためにオフィス内に点字ブロックを用意したり、各所に手すりを配置したりする設備的な対策はもちろんのこと、握力がない人が電話に出やすいようにヘッドセットを導入するだけでも立派なバリアフリー化と言えます。機械のエラー音を聞き取りづらい聴覚障害者のために、エラーが起きたら音だけでなく光で知らせるタイプの機械を導入しても働きやすさは格段に変わります。

平時だけではなく、例えば急に体調を崩した障害者にはどういった対応をするか、災害時の避難にはどのようなサポートを行うのかなどを決めておくこともバリアフリーを考える上では重要となります。緊急時は健常者にも余裕がなくなるため、予め打ち合わせておくことが必要なのです。

バリアフリーの導入には、スタッフ間の理解と密なコミュニケーションが不可欠となります。これらをクリアすることで、風通しのいい職場作りが可能です。設備面のみならず精神面のバリアフリーも大切なので、誰もが働きやすい職場にできるようにメンバー全員の意識を向上させてください。そういった姿勢は少なからず業績に反映されます。

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